Nature kitchen|卓上菜園ジャーナル

Weekly article.

最新記事を読む facebookでシェアする twitterでシェアする

万能調味料「塩麹」のつくりかた

塩味の中にほのかな甘みや旨味を含む塩麹[しおこうじ]は、家庭に常備したい万能調味料。調味料として使用するだけでなく、酵素の力で、料理の素材を柔らかくしたり美味しさをUPしたりと、素晴らしい機能が満載です。

塩麹

正しい塩麹づくりのポイント

塩麹は、材料を混ぜ合わせたら常温で1週間~10日間寝かせ、熟成させてつくられます。常温で数日間寝かせる目的は、米こうじにもともと含まれる麹菌がつくり出した酵素を働かせることによって、お米の成分を分解し、塩の味をまろやかにするためです。

失敗しない塩麹づくりのポイントは大きく2つあります。ひとつは材料の配分をきちんと守ること、もうひとつはときどき上下かき混ぜることです。この2点を心がけるだけで美味しい塩麹を簡単につくることができます。では、詳しく見ていきましょう。

Step1 材料の用意

米こうじは、お味噌屋さんなどで手に入れましょう。

[材料]米こうじ500gで塩麹をつくる場合(1000ml弱の塩麹ができます)

  • 米こうじ・・・・・500g
  • あら塩(食塩でもよい)・・・・・167 g
  • 水・・・・・567g

つまり、米こうじ:塩:水=15:5:17の重量比率になるように調合します。なぜこの分量を守ることが重要なのか、それは塩分濃度13.5%を保つためです。

※ 13.5%という数字は一般的な塩麹の塩分濃度です。薄味にしようとして、これより濃度を低くすると、雑菌が繁殖するリスクが高まるのであまりお勧めはしません。逆に、これより濃度が高くなると、酵素の働きが緩慢になり、まろやかな味を出すまでにより多くの時間を要します。

Step2 仕込み

はじめに、塩麹を入れる容器はきれいに洗い、熱湯消毒などで滅菌*します。

※とっても簡単な滅菌の方法:容器に100℃に沸かした熱湯を少し注ぎ、すぐにフタをかぶせて(密閉しない)しばらく放置するだけで、高温の蒸気が容器内に充満し、ほとんどの菌は死滅します。シビアな培養でないから使える、とっても手抜きな滅菌方法です。

ちなみに、今回はホウロウを使用しました。ホウロウは表面がガラスでコーティングされており平滑なので、菌類の繁殖が少なく安心です。ポリエチレン[PE]やポリプロピレン[PP]の容器も同様の抗菌効果があります。

以下、仕込みの手順を説明します。

[1]容器に米こうじと塩を、分量を守って投入する。

[2]米こうじと塩を、軽くかき混ぜる。

[3]ゆっくりと水を注ぎ、丁寧にかき混ぜる。

[4]均一にかき混ぜ終わった状態。

はじめに、容器に米こうじと塩を入れ、スプーンなど(熱湯に浸けるなどして滅菌消毒したもの)で軽く*かき混ぜます。そこに分量の水を注ぎ、均一に混ざり合うように、ていねいにかき混ぜます。

※水を入れる前に念入りに混ぜる必要はありません。上下軽く混ざりあえば十分です。水を入れてからは、塩分濃度のムラがなくなるように、ゆっくりと丁寧に混ぜこみます。

Step3 熟成

熟成の所要日数は、気温が高い夏場でおよそ1週間、冬場で10日間前後です。この間、ときどき(できれば1日に1回)塩麹をかきまぜる作業を行います。

「熟成」と書きましたが、実は、塩を混ぜた時点で米こうじ内の麹菌は死滅しており、塩麹には活動できる微生物はいない状態になっています*。したがって、ここから先のプロセスでは、新たな雑菌の混入を防ぐと同時に、麹菌が残してくれた酵素を効率よく働かせること、が最大のポイントとなります。

※ 熟成期間にときどき塩麹をかきまぜる必要があるのは、麹菌(酸素を好む好気性の微生物)に酸素を送るためではありません。塩麹の水面近くで、酵素の反応により生成した一部のアミノ酸や糖分が、部分的な塩分濃度の低下によって、雑菌の繁殖を許してしまうことがないように、塩分濃度を均一に保つ目的でかきまぜるのです。同時に、酵素の反応をスムーズにする目的もあります。

酵素は言うなれば「触媒」です。生き物ではありません。放置しておけば、タンパク質やでんぷんなどの大きな分子を、アミノ酸や糖などのより小さな分子に休むことなく分解し続けていく、微生物がつくりだす魔法の道具です。これが、熟成させることで塩麹の旨味や甘みが増すメカニズムです。

酵素の働きは温度によって大きく左右されます。もっとも反応が活発になるのは30~50℃前後です。したがって、仕込みから完成までの所要日数は、気温が高い夏場の方が、冬場よりも短くなるわけです。

Step5 完成

米こうじがやわらかくふやけ、スプーンですくった時に塩麹全体にとろみが出てくる頃が完成の目安です。味見すると、熟成前のとんがった感じの塩味ではなく、まろやかな塩味になっているのがわかると思います。

塩麹には、大きく2つの使い方があります。

塩の代わりに活用
一つは普通の塩の代わりに、塩味の調味料として使う方法です。まろやかで甘みのある味わいが、料理の味付けに深みをもたらしてくれます。
素材の下処理に活用
もう一つは、素材の栄養価や味を高める目的で使用する方法です。塩麹には、タンパク質を分解するプロテアーゼや、でんぷんを分解するアミラーゼなど、数多くの分解酵素が含まれています。素材を塩麹に1日浸けこむか、表面に薄く塗るだけで、素材の旨味を引き出すことができます。漬けこむ場合には、塩味が浸透しすぎてしまうことがあるので、予め水で薄めた塩麹を使っても良いでしょう。薄めることで酵素のはたらきもより活発になります。

以上、塩麹のつくり方と、その背景にある原理とポイントを紹介してきました。

皆様もご家庭で、万能調味料「塩麹」生活をお楽しみください。