創業のいきさつ

「最先端の自然科学をベースに、
人と自然が高度に共生する社会やまちを築きたい」

それは、私が二十歳の頃から温めてきた夢の構想でした。
将来、クリーンテクノロジーの分野で起業したいと考えはじめたのもその頃です。
その理由は、私が日本に生まれ何不自由なく育ってきた恵まれた環境とは裏腹に、
地球は今いくつもの問題を抱えた「待ったなし」の状態であることを知ったからです。

工業化の進行によって大気や水質・土壌は汚染され、
海水温が上昇することによって異常気象や海面上昇が起こり、
大規模な森林伐採や生態系の破壊が進行するなど、
数えればきりがないほどの問題が山積みになっていたのです。
環境問題に限定しなければ、飲料水や食料危機の問題、エネルギー資源の枯渇など
人類にとって生きていくために必要なライフラインの確保さえ、
おぼつかないような状況なのです。

この事実を身をもって体験したのは、二十代半ばの頃。
沖縄県の石垣島に実家がある友人に連れられ、
石垣島で最高のシュノーケリングスポットで潜らせてもらえることになりました。
海中にはアオサンゴの群れが一面にひろがり、息をのむほど美しい絶景が広がっていました。
ところがある場所を通りかかると、その辺り一帯には白いアオサンゴしか見つかりません。
それは白化現象といって、サンゴショウの中に共生する褐中藻という生き物が
サンゴショウから抜け出たあとの、抜け殻だったのです。
その白いサンゴショウは既に死んでいたのです。
もしサンゴショウを失えば、多くの生物は生存のための住処を失うことになり、
食物連鎖は崩壊し、生物多様性の乏しい死の海と化していきます。
白化現象の直接の原因は海水温の上昇といわれていますが、
人類による過剰なエネルギー消費によって大量の熱が海に捨てられていることが
間接的な原因になっていないとも限りません。

このように悲観的な思いばかりがつのる中、ふと自然界に目を移してみると、
そこには見事に調和のとれた、最先端の構造やしくみがゴロゴロと転がっていることに気づきます。
それは、46億年という気の遠くなるような歳月を経て磨き上げられた、究極の省エネ技術でした。
私は、こうした自然界の優れたしくみを人々の生活に取り入れることによって、
地球規模の数ある問題を一つずつ、少しずつでも解消していきたいと考えるようになりました。
そうすることで、現代の人々の生活の質や文化の水準を落とすことなく、
環境への負荷を小さくする自然共生型のスタイルを確立できる日が必ず来るだろうと信じて。

これが、私が会社を興そうと意志を固めた最初の原点です。

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